ウェルカム通信 9号|発達×MIX会

発達×MIX会です。

発達ミックス会 開催報告

今回の発達ミックス会は、申込み時の関心テーマをもとに、3部制のテーマトークとして開催しました。
「職場の人間関係(距離感)」「セクシャリティとアイデンティティ」「聞けていない時の対処・家事の工夫」など、日常の困りごとを具体例とともに共有しながら、“べき論”に偏りすぎない現実的な工夫を持ち寄る回となりました。

第1部:職場の「べき思考」と距離感/日常の困りごと

第1部では、職場のコミュニケーションで起きやすい「べき思考(正しさの押し付け)」を中心に話題が展開しました。

  • 「正論」「正しさ」が強い相手と関わるとき、こちらが消耗しやすい。特に“べき論が強いタイプ”の同僚・上司に対しては、正面衝突を避けつつ被害が自分に向かない言い方を事前に想定するなど、対処の工夫が共有されました。
    その工夫として、「相手が言いそうなことを脳内で先回りして想像し、角の立たない表現に置き換える」「最初から“論破勝負”にしない前提で接する」などが挙がりました。
  • 一方で「周囲にもっと困っている人がいると、相対化できて気持ちが落ち着く」という声もあり、主観だけで飲み込まれない“客観視”の重要性が確認されました。
  • 生活面では、衝動買い(引っ越し後にクレジットで家具を買い漁るなど)や、忘れ物が多く遅刻につながる話が出ました。
    「なくてもいい物でも“ないとしっくりこない”感覚が強く、取りに戻ってしまう」といったASD的なこだわりの話も共有され、“物の定位置を決める”工夫をしている参加者が多いことがわかりました。
  • セクシャリティの話題も一部触れられ、ゆらぎ(自分のイメージを変えたい気持ち、性欲の有無によるすれ違いなど)について、「他者と前提が違うと、同じ行動でも受け取りがズレる」ことが話題になりました。
  • また、月初のトラブルで気持ちが崩れたが、後半は落ち着いてきたという声があり、**メタ認知(自分の状態を俯瞰する視点)**が回復の鍵になる、という共有もありました。 

第2部:セクシャリティの曖昧さ/アイデンティティ/距離の詰め方

第2部は、セクシャリティとアイデンティティ、そして人間関係の距離感に焦点が当たりました。

  • 「揺らいでいるままでいいのか?」という問いが出て、セクマイコミュニティ内でも“曖昧さ”の扱いに迷いが生まれることが共有されました。一方で、行政の啓発活動などを通して多様性に触れた経験から、「自分は最初から定まっていたので運が良かったかもしれない」という声もあり、スタート地点の違いがあることが確認されました。
  • 「TPOを考えすぎるほど言えない」「ASDだからこそ社会性に適応しすぎてしまい、結果的に苦しくなる」という話題が出ました。
    同じ属性の人が集まるほど自己開示がしやすい一方、距離が急に詰まって疲れることもある、という“両面”が語られました。
  • 距離感については、「健常者のように“徐々に詰めて、徐々に離れる”が理想だが難しい」「疲れている時ほど距離の詰まりを敏感に感じる」という声がありました。
    また、相手の理想像・現実像のズレを調整するには本来“話して摺り合わせる”必要があるが、その摺り合わせ自体が負担になる場合もある、という現実的な指摘もありました。
  • コミュニケーションのズレの具体例として、マッチングアプリでは文章で条件や意図を整理できていたのに、対面では温度感や会話が難しくなり、「スキンシップの意図」が相手に違って伝わってトラブルになった経験が共有されました。
    ここから「文章でも会話でも“まだ確かめる”工程が必要」「空気づくりの努力が必要」という学びが挙げられました。
  • 「パートナー前提で仲良くなる場合は、最初のデートで前提条件をすり合わせる」という実践例も共有され、最初に条件を言語化することの有効性が確認されました。
  • さらに、年齢を重ねるほど「条件のズレ」が大きくなり、セクシャリティ/アイデンティティの扱いづらさが増すという話が出ました。その一方で、歳を重ねたことで客観視ができるようになり、「主観が強すぎると孤立しやすい」と感じるようになった、という視点もありました。
  • 「一人でいることが楽しい」「今は仕事と日常生活でリソースが尽きて恋愛に割けない」という声もあり、依存先を分散する発想(他に支えがあればよい)や、「肌の違和感=アラート」など、自分の状態を検知するサインが話題になりました。
    一方で「疲労のアラートが出ないまま突然倒れることがある」という共有もあり、睡眠や服薬など、休息の確保が最優先という確認もありました。

第3部:聞けていない時の対処/確認の工夫/家事ライフハック

第3部は、日常の実務に落とし込める「具体策」の共有が中心になりました。

  • 「話を聞けていない」と指摘された経験が共有され、パートナーだけでなく別のコミュニティでも同様の指摘を受けて気づいた、という話がありました。
    “どうすればいいか”以前に、申し訳なさ(懺悔に近い感情)が強いという率直な気持ちも出ました。また「自分では周囲にバレていないと思っていたが、実は気づかれていた」という体験も語られました。
  • 対処としては、「こちらから要点を確認する」「相手に“確認してほしい”と先に言う」など、自分起点で確認工程を入れる工夫が挙げられました。
  • 「2〜3分を超える説明は理解が落ちる」「会議が不安なので、とりあえず書いておく」「キーワードだけ残して記憶する」など、記憶の残し方を“単語化”する手法も共有されました。
    その場では理解しているはずなのに後で思い出せない、という共通感覚も出ました。
  • 家事については「全部はしない」「場所/時間で小分けにする」「畳まないで使える形にする」「ぐちゃぐちゃを受け入れる」など、“完璧主義を捨てる”方向の工夫が多く出ました。
    さらに、衛生対策として漂白剤(ハイター等)を活用してハードルを下げる話もありました。
  • 職場面では、合理的配慮によって不得手を“潰せている”という前向きな共有もありました。
    コミュニケーション工夫としては、相手に言わせる(オウム返し等)で確認を促す、という実践も挙がりました。
  • 生活ハックとしては、生ゴミを冷蔵保管して臭いを防ぐ、匂いが漏れにくい袋を活用するなど、「不快を減らす」視点の工夫が共有されました。

まとめ:今回確認できたこ

今回の会では、以下の点が共通の学びとして浮かび上がりました。

  1. “べき論”は便利だが、人間関係では衝突の火種になりやすい
    → 正面衝突を避ける言い方/事前想定/客観視が有効
  2. セクシャリティやアイデンティティは、「定まる/揺らぐ」の個人差が大きい
    → 曖昧さを抱えたまま生活する技術(前提確認・距離調整)が重要
  3. 「聞けていない」「思い出せない」への対策は、確認工程と記録の工夫で補える
    → 要点確認・キーワード記録・小分け家事など、仕組み化が効く
  4. 疲労やメンタルのアラートが出にくい場合、睡眠・服薬・休息が最優先
    → “気合いで回す”より、倒れない設計が必要

以上です。次回のご参加をお待ちしております。

次回のミックス会は5/23(土)です。

以下からお申し込みください。https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSctKx1V1M4RUJtrSnbCVtNhl_yTtnuaFcN7waHJf1X_zlmE7Q/viewform